第一章

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「そういえば、もうすぐ5時だけど、沙羅部活大丈夫なの?」 私が時計を指差すと、沙羅は慌てた様子で返事をする 「あ、やばいかも。」 沙羅は中学の時からソフトテニス部に入っていて、 中体連では全国大会に出場しているほどの実力 だから高校に入ってもすぐに部活のエースとして活動している そのためかは分からないけど、顧問の先生も力を注いでおり 活動時間は朝練習一時間と放課後5時から8時までというハードスケジュール もちろん、土日も部活のため沙羅とプライベートであまり会うことはない 「舞桜―、私先に行くよ。」 気がついたら沙羅は既に鞄を持って教室を出ようとしていた 私たちの他にはもう誰も残っておらず、流石に一人教室にいるのは寂しい 「待って!私も途中まで一緒に帰るから。」 慌てて自分の鞄を取り小走りで教室を出る 既に廊下を歩いていた沙羅の隣に並び、階段を下りていく いつもと変わらない日常 それが、今日で終わりを迎えることを 私はまだ、知らなかった  沙羅と分かれて、私は帰路を歩いていた 今日は朝から雨が降っていたから、自転車を諦めてバスで学校まで来た 本当は遅刻しそうになったのは、沙羅には絶対黙っておこう 帰りは交通費の節約も兼ねて、歩いて帰ることにした 学校から家まで徒歩20分くらいだからそこまで負担でもない 気長に帰ろうと携帯を取り出す 「あれ、お母さんからだ。」 画面を見ると丁度お母さんからの着信画面になっていた 普段はこの時間帯に連絡はしないんだけど
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