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出ないわけにもいかないので、通話ボタンを押して片耳に当てる
「もしもし、お母さん?」
電話から聞こえてきた声はいつもと違うようだった
どうしたんだろう、少し焦っているというか
『ああ、舞桜?もう学校終わったのね。』
「うん、今帰ってる途中だけど。どうしたの?」
丁度交差点に差し掛かり、信号が変わるまでその場に立ち止まる
『あのね、さっき家にお客様が来てたんだけど。今出てったの。』
何故それを今私に言う必要がある
率直に思ったことはさておき、お母さんの話は続いた
『それでその子、舞桜に会いに行くって言ってね。舞桜会ってない?』
「いや、それらしき人は・・・。私の知ってる人?」
お母さんが『その子』と言うのだから、多分若い人なのだろう
知り合いならすぐに分かると思うのだけれど、全く見かけていない
『いえ?会ったことないはずよ。』
まあ、分かるはずがないか
一応それらしき人は探してみたが、今のところそれらしき人は見当たらず
丁度信号が青になったので、私は歩き出した
「分かった。とりあえずその人に会ったら連絡するから。」
そう言ってお母さんとの通話を終えようとした時
道路から猛スピードでこちらに向かってくる真っ赤な車
私はそれに気付くのが遅かった
車は確実に私の方に近づいてきて
母との通話が終わりやっと音の方を振り向いたときには
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