第一章

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出ないわけにもいかないので、通話ボタンを押して片耳に当てる 「もしもし、お母さん?」 電話から聞こえてきた声はいつもと違うようだった どうしたんだろう、少し焦っているというか 『ああ、舞桜?もう学校終わったのね。』 「うん、今帰ってる途中だけど。どうしたの?」 丁度交差点に差し掛かり、信号が変わるまでその場に立ち止まる 『あのね、さっき家にお客様が来てたんだけど。今出てったの。』 何故それを今私に言う必要がある 率直に思ったことはさておき、お母さんの話は続いた 『それでその子、舞桜に会いに行くって言ってね。舞桜会ってない?』 「いや、それらしき人は・・・。私の知ってる人?」 お母さんが『その子』と言うのだから、多分若い人なのだろう 知り合いならすぐに分かると思うのだけれど、全く見かけていない 『いえ?会ったことないはずよ。』 まあ、分かるはずがないか 一応それらしき人は探してみたが、今のところそれらしき人は見当たらず 丁度信号が青になったので、私は歩き出した 「分かった。とりあえずその人に会ったら連絡するから。」 そう言ってお母さんとの通話を終えようとした時 道路から猛スピードでこちらに向かってくる真っ赤な車 私はそれに気付くのが遅かった 車は確実に私の方に近づいてきて 母との通話が終わりやっと音の方を振り向いたときには
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