第一章

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もうすでに手遅れだった 一瞬のはずなのに、私の頭はかなり冷静に分析していて 「(あー、死んだ。)」 そう思った後は何が起こったのかは全く分からなかった あと1mも車との差がない時 突然視界が大きく変わる 気がついたら私は空を飛んでいた ・・・いや、実際は誰かに抱かれたまま宙に浮いていた 女子の誰もが憧れるあのお姫様抱っこというやつで 普段の私ならすぐに赤面してもおかしくない そのお姫様抱っこをしているのは、 綺麗な黒髪に一筋の紫色を帯びた若い青年 その黒い瞳は鋭く前を見ていた さっきまで目の前にいた車は私の真下にいて 急ブレーキをかけたのか、私が立っていた所に丁度止まっていた あのままだったら、私・・・ そう考えるだけでゾッとした 「あと少しで死んでましたよ、姫様。」 「えっ・・・。」 気がついたら私が歩いていた歩道の反対車線に着地していた 彼は私を見るとため息混じりにそう言い、微笑んだ
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