4人が本棚に入れています
本棚に追加
高校に入った最初の1年は楽しかった。
2組の後藤と吉崎ができたとか、担任のあだ名付けたりとか、だるい、眠いなんてアウトロー気取ってかっこつけてるやつとか。そんなのを見ながら、平々凡々な俺は愛想笑いをして惰眠を貪ってた。
そんな1年間はあっという間に過ぎ、各々のキャラクター、ポジションなんかが定着した頃。授業中に居眠りしていたのがバレ、顔面半分に大量のヨダレをべっとり着けたまま廊下に立たされた。以来、俺のあだ名は‘‘顔射五郎‘‘になった。
廊下で、教室で、街中で。姿を見られれば顔射野郎と大声で馬鹿にされる。初めの内は直に収まるだろうと思っていたが、先輩方に目をつけられ見事カモになってしまった。だがそれくらいじゃビクともしない俺は自分に言い聞かせるように‘‘人気者は辛いぜ‘‘等と呟き5万8千9百円をふんだくられた。9百円の端数は購買で先輩の忘れたコンパスを買わされた分だ・・・・・・3人分。
そんな最低なスタートを切った顔射五郎こと俺、米田五郎はジワジワくる周りのプレッシャーに堪えながらも2年目の露を乗り切った。
夏場は先輩方も部活で忙しいから俺にとっては至福の生活が待っていた・・・・・・筈なのだが。
俺の好いていたクラスの女子、吉瀬さんの下駄箱から精液入りのコンドームと「僕の気持ち良いキモチ受け取ってくださいっ!by顔射五郎」等という手紙が発見された。
当然、俺は無実だ。確かに縦笛くらいなら嘗め回したいという衝動はあったが実際にそれを行動に移す勇気などあるわけがない。無実かどうかなんてのは解り切ったことであり、周囲も吉瀬さんも気づいていたに違いない。だが問題なのは‘‘そんなものが発見された‘‘という事実だ。
最初のコメントを投稿しよう!