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シェイラはジェイクの顔をしばらく見つめて、優しく微笑んだ。
「あなたは、とても優しい方ですね」
ジェイクは目を丸くして首を傾げる。
「どうしてそう思います?」
「イナちゃんの今までの非情な人生を、あなたは背負って一緒にいる。それは相手が『WORLD END』でも、誰かに頼まれたからといって決してできることではありませんもの。しかも、それは同情からではない…『相棒』として傍にいるんですね」
慈しみに溢れた母親らしい澄んだ瞳で見つめられ、ジェイクは頭を掻いて恥ずかしさを紛らわした。
「やめてくださいよ~…そういうのには慣れてないんで」
ジェイクの様子を見て、シェイラが楽しそうにクスクスと笑う。
「ジェイクさんのような素敵な人とお話ができて良かったですわ。とても素敵な夜になりました。すっかりお茶が冷えてしまいましたね、もう一杯飲まれますか?あ、でもイナちゃん…」
大袈裟にジェイクは手を振ってみせて苦笑した。
「あー、あいつのことなら気になさらず。部屋にはいないと思いますから」
「え?」
「あいつはね、自分の身の上がそうだったからなんだと思うんですが…子どもが乱暴に扱われるのを許せない。それは表面に出ることはないんですがね。そんな日はイライラが治まらないから、俺に黙って発散に行くってわけで」
まだワケがわからず戸惑うシェイラに、ジェイクは笑顔で空になったカップを軽く持ち上げた。
「とりあえず、もう一杯もらえますか?」
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