―悪逆非道の賞金首―

6/8
前へ
/47ページ
次へ
―――ドォォンッ!!!! 轟いた爆発音は、ツィンスターの屋敷を地震かと思わせる程に揺らす。 「何事だ!!?」 自室にいたツィンスターは立ち上がり叫んだ。 自室に駆け込んできた大男が、必死の形相で言葉を喘ぐ。 「ツ、ツィンスター様ぁ!!あ、あ、あいつらは…化け物です!!」 そう言い終わるや否やの瞬間、男の頭が激しく左に弾かれて、その巨体は宙を舞って飛んでいく。 灰色の煙が通路から室内へと流れ込み、その煙を撒いて、二人の人影が現れた。 「こんちわーぁ。お邪魔しまくってまーす」 片手を挙げてにこやかに登場したジェイク。 その傍らにちょこんと立っているイナ。 異質な組み合わせ、状況にそぐわない登場に、ツィンスターはやや唖然とした。 しかし、すぐにニヤリと薄い唇が喜びに歪む。 「貴様らが例の二人組か。派手にやってくれたようだな」 「いやぁ、立派なお屋敷なんで壊し甲斐がありまして。俺たち手癖悪いもんで、すんませんね」 「なるほど…報告通りというわけか」 二人を恐れる様子もなく、小柄な男は嬉々として笑っている。 見たところ、ツィンスター本人に何かしらの力があるようには思えない。 なのに、あれだけの強豪な男たちを従えることができているのは何故か。 ジェイクは、確信に笑みを深めた。 「えーっと、ツィンスターさん?俺たちこう見えて賞金稼ぎなんだよね?で、俺たちの狙いはあんたじゃないんだわ。言いたいこと、分かるよな」 ツィンスターの口角が更につり上がる。 「貴様らも“あいつ”目当てか。余程死に急ぎたいと見えるな、賞金稼ぎというのは」 「死に急ぎたいなんて思ってやしないよ。死ぬなら綺麗なお姉ちゃんの谷間に埋もれて安らかに逝きたい…って、男なら誰しもそうじゃないの?」 ジェイクの言葉にツィンスターは顔を手で覆って高笑った。 「フハハハッ!!愉快な男だな。よかろう、そんなに会いたければ会わせてやる」 途端、ジェイクとイナの足下の床がパカンと開き、二人は重力のまま下へと落ちていく。 「うおっ?」 二人は特に慌てる様子もなく、落ちる身体そのままに、暗い底へと消えていった。 開いた床は、二人が完全に見えなくなってから再び閉じる。 「さぁ、ショータイムの始まりだ」 ツィンスターはそう呟くと、デスクにあったボタンを押す。 すると、デスク自体が巨大なモニターとなり、一つの光景を映し出した。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加