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「ガァァァァァッ!!」
バドシアスが叫びながらイナに拳を振り下ろす。
イナは軽やかに宙を舞い、難なく拳をかわした。
イナが立っていた場所を、拳が轟音と共に抉る。
バドシアスの背後に着地し、先ほどまでバドシアスを拘束していた鎖を手に取った。
イナの手を大きく上回る大きさの鎖を持ち、そこに残る無数の傷と乾いた血の跡を見つめる。
「…ディンク、これを“食べて”」
「御意」
ディンクの口が小さな身体以上に大きく開き、イナの言葉通り、鎖に噛みついて食べていく。
まるでクッキーか何かのように、鉄の鎖はディンクの牙で砕かれ、易々と飲み込まれる。
鎖の一束を食べ終わる頃、またしてもバドシアスの巨体が襲いかかってきた。
「オオォオォォオオオ!!」
バドシアスの腕が伸ばされる中、イナは冷静に口にする。
「ディンク、ソード」
途端にディンクの身体は形を変えて、イナの手首に絡みついていく。
瞬く間にディンクの身体は、漆黒に輝く剣へと変貌した。
その直後、バドシアスの腕がイナの残像を捕らえる。
イナの身体は瞬間飛び上がり、バドシアスの腕を駆け上がった。
「ごめんね…バドシアス」
イナが小さく呟いた。
「あなたがそうなったのは…すべて『TOB』の…私の、せいだから」
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