―賞金稼ぎと少女―

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男の足が反射的に止まった瞬間、少女の身体が軽やかに回った。 と思った刹那。 「ぐへぶっ!!?」 少女のかかとが男の顔にめり込み、男の身体が飛んでいく。 最後の男がそちらに気を取られた、その一瞬。 彼の拳が男の脇腹に打ち込まれ、強烈な衝撃と激痛が走った。 「ひ、ぎゃぁ!!!!」 子どもを掴んでいた手が緩み、落ちていく子どもを彼が優しくキャッチした。 「大丈夫か?」 「う、うん…」 キョトンとした男の子の顔を覗き込み、彼は笑う。 「よしっ!んじゃお前ら、さっさとどっか行っちゃって。あ、気絶してるヤツ連れてけよ?」 「くっ…!お、覚えてろよ!!」 少女に蹴り飛ばされた男を引きずりながら、男たちはヨロヨロと走り去っていった。 「ママぁ!!」 「カイル…!」 彼の手から離れ、男の子は母親に駆け寄り抱き合う。 周囲から歓声と拍手が巻き起こった。 「よくやったな、兄ちゃんたち!」 「あたしゃ気持ちよかったよ!ありがとねー!」 「いやいやぁ。どーもどーも」 周囲の声に応えつつ、彼は歩み寄ってくる少女に声をかける。 「さっきはあんがと、イナ」 「…どういたしまして」 「…あの…」 二人のもとに、母親と子どもがやってきた。 「本当にありがとうございました」 「ありがとうです」 深々と頭を下げる母親を真似て、子どもも頭を下げる。 「私はシェイラと申します。この子はカイルです。なんとお礼を言えばいいか…言葉では足りません」 「あ、俺はジェイクです。こっちはイナ」 「どうも」 「二人とも困ってる人は捨て置けない性分だっただけですから、気にしないでください」 「そんな…!何かお礼をさせてください。あまりお金はないのですが」 「とんでもない!お金は必要ありません」 「でも…」 「えっと、それならこの街のいい宿を紹介してもらえますか?あと美味い店も」 ジェイクのその提案に、シェイラは初めて優しく笑った。 「それでしたら、とっておきの宿屋がありますよ」
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