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確か胡蝶の夢って言うのは『蝶の夢を見ている。でもそれは蝶が人の夢を見ているのかもしれない』と言う荘子の考えだった。
そう考えていると蜜がしゃべりだす。
「今から20年前。アブッジェと言う博士がいたの」
誰だろう。
聞いたことがない。
「その人は、理論や考えなどを人間の脳に埋め込むことに成功したの。で、その結果人間は特殊能力を手に入れた」
「特殊能力…」
さっき見たものは『特殊能力』だといわれると少し納得できるかもしれない。
だけど、
「本当にそんなことが可能なのか?」
「…可能なの。どんな機械よりも人間の脳はデジタルなの。だからアブッジェ博士の発明を人間の脳は電波として受け取ったの」
何を言っているのよくかわからない。
森独特の音がする。
「そして人間の脳はそれに対応すべき進化したの。すごい速さで」
「………」
「でも、それに対応できるのは一部の人間だけ。だからいろんな人たちがその能力を欲したの」
…戦争。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
第三次世界大戦はテロとか言われていたけど本当はこれなんじゃないか?
そんなことを思っている俺に溝端蜜が声を貼って言った。
「それから、まれに生まれてくるのが私たちRS(特異反応)よ」
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