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「連れていけ!」
重い鎖に繋がれた手と、僕を囲む兵士。
その様子を泣きそうな顔で見守る平民。
「お姉ちゃ「黙ってろ!・・・あいつがお前らを守るために出した選択だ。」
その中から飛び出した少女は僕の妹ではないが、家族のように仲良くしていた子。
少し道を戻り、少し不自由な手で頭を撫でた。
「ごめん。どうか生き延びて。」
呟やくような声で言って、塔の中へと足を運んだ。
塔の頂上に立つと、平民の人達一人一人が分からないくらいに離れているものの、全員が集結していることが分かった。
「これより、NO.0・・・否、蒼或(そうあ)さんの、処刑を始める・・・」
エコーのかかった兵士の声が響く。
・・・これで、いい。
これで、救われるべき人が救われるんだ。
僕みたいな兵器は、この世にあってはならない。
僕がいなくなれば、
この世は平和だ。
「蒼或、何か言い残したことは。」
「ない。兵器に心があってたまるか。」
「あったからこうなっちまったんだろうが・・・バカが。」
「・・・バカと言われたら終わりだな。最後に指示を出す。
とっとと僕を壊せ。」
「っ・・・了解だ。
全員、構えろ!標的は蒼或!
・・・撃て!」
僕は静かに目を閉じ、眠った。
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