0人が本棚に入れています
本棚に追加
「う・・・」
木のざわめく音と頬を撫でる風で僕は意識を取り戻した。
「ぃった・・・生き、てる?」
あの高さから落ちたのにまだ存在してるなんて・・・
そう思いながらもふと目を開けると、青々とした木の葉が広がっていた。
・・・。
木の葉?!
突ん裂くような痛みを無視して急いで起き上がる。
瓦礫の上じゃない・・・寺の横かな?
っていうか、そもそも僕の時代には森林は愚か、草花やさえないはず。
勿論、木造の寺なんて持っての他・・・
それに、逃げてる途中に刺された脇腹の刺し傷に包帯が巻いてある。
いろいろおかしいとキョロキョロしているとき。
「よぉそこの坊主。そんなボロボロの服着てると、親御さんに怒られちまうぜ?」
「異人の服だし、変な巾着に金でも入ってそうだなぁ。」
ニヤニヤしながら2人の浪士っぽい人達が入ってきた。
僕、親いないし。っていうか守られる年じゃ・・・
と、思ったけど、僕なんかちっちゃい?
目線的に10歳位の身長だし、ちゃんと立っても浪士と並べない。
160はあったはずなのに・・・
っていうか坊主?僕は女だよバーカバーカ。←
・・・あ、話ずれたな。
蓮「用件は。」
「ハハッ、そんなに睨むなって。」
「そりゃあ子拐いだろうよ。大人しくついてきてもらおうか、坊主?」
そう言うと一人の浪士が僕を抱き上げようとする。
蓮「っ触るな!!」
「ひぃっ!!」
ぱしっっと手を振り払って睨み付けて小刀を構えると、短く悲鳴を上げた。
何故・・・?
「こ、こいつ、目が、あ、あ赤くぅあぁぁぁ!!」
混乱しているのか、転びながら逃げていく浪士たち。
今更僕の目に気づいたの?やっぱり馬鹿だ。
でも・・・こういう場面では利用できていいな。
そう思いながらもふと浪士達が置いていった刀を手に取り、鞘から抜いてみる。
スッと刃を撫でれば簡単に指に傷がついた。
・・・暇だから振り回してみるか。
蓮「使わせてもらいます。」
流石に公共の場でもあるし、寺ということで手を合わせてから裏で振り回すことにした。
ビュン、と空を切る音が少し楽しい。
でもちょっと重いな・・・。
「ねぇ、何してるの?」
最初のコメントを投稿しよう!