死んで生きる。

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「う・・・」 木のざわめく音と頬を撫でる風で僕は意識を取り戻した。 「ぃった・・・生き、てる?」 あの高さから落ちたのにまだ存在してるなんて・・・ そう思いながらもふと目を開けると、青々とした木の葉が広がっていた。 ・・・。 木の葉?! 突ん裂くような痛みを無視して急いで起き上がる。 瓦礫の上じゃない・・・寺の横かな? っていうか、そもそも僕の時代には森林は愚か、草花やさえないはず。 勿論、木造の寺なんて持っての他・・・ それに、逃げてる途中に刺された脇腹の刺し傷に包帯が巻いてある。 いろいろおかしいとキョロキョロしているとき。 「よぉそこの坊主。そんなボロボロの服着てると、親御さんに怒られちまうぜ?」 「異人の服だし、変な巾着に金でも入ってそうだなぁ。」 ニヤニヤしながら2人の浪士っぽい人達が入ってきた。 僕、親いないし。っていうか守られる年じゃ・・・ と、思ったけど、僕なんかちっちゃい? 目線的に10歳位の身長だし、ちゃんと立っても浪士と並べない。 160はあったはずなのに・・・ っていうか坊主?僕は女だよバーカバーカ。← ・・・あ、話ずれたな。 蓮「用件は。」 「ハハッ、そんなに睨むなって。」 「そりゃあ子拐いだろうよ。大人しくついてきてもらおうか、坊主?」 そう言うと一人の浪士が僕を抱き上げようとする。 蓮「っ触るな!!」 「ひぃっ!!」 ぱしっっと手を振り払って睨み付けて小刀を構えると、短く悲鳴を上げた。 何故・・・? 「こ、こいつ、目が、あ、あ赤くぅあぁぁぁ!!」 混乱しているのか、転びながら逃げていく浪士たち。 今更僕の目に気づいたの?やっぱり馬鹿だ。 でも・・・こういう場面では利用できていいな。 そう思いながらもふと浪士達が置いていった刀を手に取り、鞘から抜いてみる。 スッと刃を撫でれば簡単に指に傷がついた。 ・・・暇だから振り回してみるか。 蓮「使わせてもらいます。」 流石に公共の場でもあるし、寺ということで手を合わせてから裏で振り回すことにした。 ビュン、と空を切る音が少し楽しい。 でもちょっと重いな・・・。 「ねぇ、何してるの?」
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