死んで生きる。

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総「ところで蓮火。」 隠れてすぐに総司が切り出した。 よく息切れしないな・・・そう言う僕もだけど。 総「蓮火はどうしてそんな変な着物を着てるの?」 そりゃそうなるよね・・・。 ボロボロの服にズボンなんていう格好はどの時代にも存在しないからね。 ましてや他から見れば異人・・・仕方ない。総司には話そう。 蓮「実は「総司、見つけた、ぞ!」 ・・・青年に遮られた。 人の決意を踏みにじりやがって・・・ 総「うげ。」 「お富さんに教えてもらったんだよ!で、・・・誰だこの異人は。」 ハァ・・・ 蓮「人を見かけで判断するなと教わりませんでしたか?」 総「あはっ、蓮火、正論だね!」 「テメーら・・・!蓮火と言ったか。家は。」 家・・・そんなの 「どこにもありません。ちなみに親も兄弟もいないので。邪魔なら立ち去ります。」 これは決して大袈裟じゃない。 この時代にも、僕の時代に帰っても、『家』や家族は存在してない。 「へぇ、じゃあ頑張って生きて「待ってよ。」あ?」 遮ったのは総司。僕をどうするんだろ? 総「蓮火をつれてく。」 「はぁ?!」 総「・・・土方さんが正真正銘の鬼だったとは「そう言う意味じゃねぇよ!」 あ、やっぱり土方歳三(ひじかたとしぞう)なんだね。 蓮「じゃあどういう意味ですか?」 土「はっきり言うが、お前は怪しい。目の色は黒でも、髪の色がおかしい。だから連れていけない。」 あ、黒に戻ったんだ・・・というより、はっきりにも程があると思う。 総「・・・そう、ですか・・・。」 蓮「やっぱり僕は怪しいんですね。」 二人でシュンとしていると、土方さんが少しぼさっとした髪をクシャリと掻いた。 土「う・・・だぁもう分かったっ!二人して捨てられた仔犬みたいな目をするなっ!・・・ほら、帰るぞ。」 総「やったぁ!蓮火、行こ!」 そういってさしのべられた手を、僕はにっこりと笑いながら取った。
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