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*冬真*
冬真はいつものように電車に
乗って家に向かっていた。
「ねー知ってる?」
同じ学校の制服で多分中2。
帰り道ぐらい静かに帰りたいのに会話が耳に入ってきてしまう。
女って本当、くだらない噂が好きで俺は嫌い。
「隣のクラスに毎日のように遅刻してくる子がいるらしいよ。」
「ふーん。そういう子って本当、調子のってるよねー!」
今頃あいつ、くしゃみ出まくってんだろうなあ…
冬夏がくしゃみを抑える所を想像するとお腹の底から笑いがこみ上げてくる。
そんな話を聞いた次の日、いつものように朝のホームルームのギリギリの時間まで冬夏は来なかった。
お得意の遅刻かと思ったがいつも冬夏が来る時間になっても隣の席は空いたまま。
気になって仲の良さそうな風美に聞いてみる。
「おい。」
「なによっ。」
この間、言い争ったから怖い顔で睨まれる。
「…今日…青山って来ないの?」
俺、マジ何聞いてんだろう…。
あいつの事なんか聞いてどうなるんだろう。
少し後悔する。
「えっ?冬夏? 冬夏なら昨日、夜メールで少し頭が痛いから明日、学校休むかもって。」
「あっ…そうか。ならいいや。」
俺はそのまま自分の席についた。
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