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ボールを半分くらい拭き終わった頃、朝練習の時間の合間に東くんが様子を見にきてくれた。
「拭き終わった?」
「あっ!東くん!まだ半分くらいなんだけど…。」
風美は相変わらず黙々とボールを拭く。
「ちょっと貸してみ。」
東くんが話しに参加出来ていなかった風美の手からボール取る。
「こうやって少し力を入れてやれば汚れがすぐに落ちるから。」
私も覗き込んでお手本を見る。
「じゃっ。俺、まだ練習あるから。なんか他にあったら聞いて。」
「あっ!あと…」
なんか言い忘れたらしい。
「ここにボール飛んでくるかもしれないから気をつけて。」
「うん。了解。」
風美も細かくうなずいているみたい。
東くんが居なくなったのを確認して私は風美に話しを切り出した。
「風美、東くんの事、気になるでしょ!」
「えっ!?ーまさか!」
「だってさっきからおかしいよ?」
「風美はいつも通りだよ!」
「絶対違うよ。」
「…。」
「ほら!もう分かりきってる事だし、白状しちゃいな!楽になるよ~。」
「だって、冬夏言わない?」
「言わない!言わない!あなた、私達は何年一緒だと思ってるのよ!」
「そうだけど…。」
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