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高野院長
歯科衛生士になりたてでミスばっかりしていた私を、優しく気長に指導してくれた先生。
短大の時の友達と会うと勤務先のドクターの悪口大会となるぐらい、歯医者のドクターは偏屈が多い。
特に開業医!
でも高野院長はホントにいい先生で、職場に恵まれた私はいつもみんなから羨ましがられた。
仲人の件も二つ返事で引き受けてくれた高野院長だったけど、帰宅後に『初めてでも大丈夫!仲人のすべて』という本を熟読していたみたい。
こっそりと希美さん(奥様)が教えてくれた。
「高野院長、希美さん…
今日はいろいろありがとうございました///」
「お礼なんていいって///
それより…そろそろ戻ってこない?」
「えっ!?で、でも…私の勝手で辞めたのに…」
「うちの奥さん、『ひなちゃんは絶対に戻ってくる』って言って…新しい人、入れてないんだ♪」
「先生もそう言ってくれてるし、戻れば?
歯科衛生士はひなにとって天職だろっ?」
そう言ってがっくんは私に優しく微笑んだ。
でも勝手に辞めた私の行動は、社会人として簡単に許されることじゃない。
「ひなちゃん!ハネムーン休暇って事で、あと10日だけ私が出てあげる!!
でもそれ以降は私、出ないからね!
患者さんたち、困るだろうな~♪
それでもいいの?」
私のいなかった間、ずっと出勤してくれていた希美さん。
希美さんはイタズラに微笑みながら、そう言った。
「……希美さん///
…また…お世話になります///」
高野院長と希美さんのご好意で、私はまた歯科衛生士に戻れることになった。
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