第一章

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眩しいくらいの日差しが、今日も教室を照りつける。 暖かい陽気に、気分も不思議とふわふわしてくる。 ーーずっとここでウトウトしていたい…… 私、佐伯結は、このクラスになって初めての席替えで、窓側の一番後ろの席になった。 先生にあてられない、自由な席……いわば、優等生席だ。 とはいえ、くじ引きで引いたため、優等生だからな訳ではない。 もう、季節はあっという間に五月…… 私は高校二年生になっていた。 チラリと教室を見ると、奇声をあげて騒ぐ男子や、ひたすら人の噂話を喋る女子がいた。 ……クラスが何度変わっても、雰囲気はどこも変わらないな。 ずっと、同じような人に囲まれ、集団生活をしてきた。 元はといえば、この高校も、入りたくて入ったわけじゃない。 お母さんの期待に応えて、私立の有名高校に行く予定だった。 けれど、……私は、あの私立高には、行けなかった。 もともと無謀な挑戦だったが、あんなに頑張っても入れないとなると、ひどく落ち込んだ。 それだけじゃない、お母さんや、お父さんにだってーー
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