第一章

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今日もまた、悪口と悪意ある嫌がらせから始まった。 朝のショートホームルームが始まり、香織と瑞希はダラダラと席に戻った。 ふと隣を見ると、先生を真っ直ぐに見つめている、安西くんの姿があった。 安西くんは、他の騒ぐ男子とは少し違う雰囲気を持っていて、一部の女子からは大人気だ。 私も、安西くんは、いいな、と思う。 勉強も運動も何でもこなして、友達にも悪いことはきちんと悪いと指摘出来る人だ。 ……羨ましいというか、なんというか、…尊敬に近いような、恋心に近いような、不思議な感覚だ。 でも、隣が安西くんで良かった。 乱暴で、お子様な男子には、あまりいい思い出が無いのだ。 ーー過去を思い出すと、胸がまた苦しくなった。 だから親指を握り落ち着ける。 そんなこんなで、気づくとショートホームルームはガヤガヤしたまま終わった。
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