第一章

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授業もいつも通り終わり、部活のない生徒は下校となった。 何の部活に入ろうかと迷っていた一年前の自分を、頭に思い浮かべる。 ーー部活、絶対入った方がいいと思って悩んでたけど、大多数の人が部活に入らなくて、私も入らなかったんだっけ……。 流されたというか、あの時の私には絶望という言葉が一番近い。 高校に入ったら、もっと部活や友達と、楽しいこといっぱいなのかなと期待を抱いていた。 でも、そんな期待は虚しく砕かれて……。 今となっては、やる気がなく、ダラけた周りの雰囲気に慣れ始めていたのだ。 窓から校庭を覗くと、部活に入ったというのに、座って喋ってばかりいる生徒達。 教室にだって、毎日子どものように遊びまくっている人はいっぱいいる。 ……私も、いつかこんな風に、染まっていっちゃうのかな……。 現に、もう染まりつつあるのかもしれない。 はぁ、とため息をついて、ガヤガヤしている中、目を閉じてみる。 ーー悩みはいつだって、絶えないな。 ずっと、何かしらの不安が、私を引きずり込もうとする……。 そんな事を考えていたが、やがて春の暖かさに包まれ、いつの間にか眠ってしまっていた。
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