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「…お前、名前は?」
生徒会長が眼鏡を中指で押し上げながら言う。
まあ、オレに聞いてますよねー。
それにしても上から目線な感じが否めない。
「普通自分から名乗るべきなんじゃないですか?ああ、自分は全校生徒に知られてるから名乗らなくて大丈夫だと思ってるんですか。まあオレ名乗る気ないですけどね。ていうかオレ帰りたいんですけど帰っていいですかね。いいですよね。答えは聞いてない」
興奮気味の川田宜しくマシンガントークで嫌みを言い、生徒会長に背を向ける。
最後の台詞は勿論ネタだ。
何歩か歩いたところで生徒会長が「ん?」と声をあげた。
「名前はさっき言ったはずだが?」
…死にたい。
格好よく去ろうと思ったのに何これ目茶苦茶恥ずかしい。
そうでしたね、先程名乗ってましたね。
名前は覚えてませんけど。
しかも…――
「お前のほうこそ自分から名乗らないでオレに名前を聞いただろう?」
――そうでした、そうでしたね会長さん。
マジサーセン。
「オレはもう名乗った。お前も名乗れ」
「……転校生迎えにいかなくていいんですか」
「それはお前もだろう」
「生徒会長が迎えに行くならオレいらないじゃないですか」
「いいから来い。会長命令だ」
…横暴だ…。
…てか別に会長命令とか従わなくてよくね?
なんの権限があるってんだ!
そうだよ!従う必要なんてナイナイ。
「百面相してるとこ悪いが、因みに会長命令は絶対だぞ」
「嘘だっ!」
「嘘じゃねぇから、一般生徒は生徒会の命令に逆らってはいけない。これ校則な」
「そんなの絶対おかしいよ!」
生徒会にそんな権限あるとか何ソレ怖い。
生徒会には極力関わらないよいにせねば。
「行くぞ」
「うぇ!?嘘でし…嘘ですよね!?」
「逆らうならお前は停学にさせる」
「すみませんでしたぁあ!!」
そんな権限強かったのか…生徒会。
空を見ながら生徒会長に首根っこを掴まれて引きずられる。
生徒会長、背高いなあ…。
「それで名前は」
「えっ…まだ聞くんですか」
「名前は」
「オレみたいな一般生徒の名前なんて聞くだけ損ですよ」
「名前は」
「えっと……あの…」
「名前は」
これ…名前言わなきゃ帰してくれないのか。
でも名前言ったって目つけられるだろうし…どうせ帰してくれない。
諦め悪いな、生徒会長。
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