中途半端な転校生

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腰に違和感を覚え、目をやる。 何ともエロい手つきで撫で回されている。 「先生、セクハラです」 「スキンシップだぞ、陽太」 「イケメンのスキンシップが激しいのはデフォなのか」 先程の歩の行動といおりんのスキンシップを思い出して顔を覆う。 イケメンだからってなんでも許されるわけじゃないと思う。 「なんだぁ?オレ以外にも陽太に触れてる奴がいるのか?」 「あんたも触らないで下さい」 「あんた…か。奥さんみたいだな」 「イカれてやがるぜ!」 話を聞く気がないのはいおりんと一緒だな、イケメンめ。 しかも嫌にポジティブ思考。 「陽太は…そいつと仲がいいのか?」 「えっ…!?いや…「相思相愛だな」黙って下さい」 仲が良いと言えるのかは解らないが、安達先生とは気兼ね無くしゃべれる。 というか遠慮してると襲われる。 「なんか壁を感じるんだよな…」 「まあ…会って初日だし…」 「じゃあ今日は初夜だな」 「冗談キツい!!」 「おい陽太の初めても最後もオレのだぞ」 「いきなり入るな変態」 そもそも初めても最後も男とヤる気はない。 勘弁して欲しい。 安達先生にしてもいおりんにしても歩にしてもオレみたいな平凡顔が珍しいんだろうな…。 …まるで歩がホモみたいじゃないか。 会って間もないのにホモだなんて失礼極まりないよな。 いおりんと安達先生は仕方ないけど。 「陽太ぁ…、今から数学研究室行こうぜ」 「だが断る」 「つれないこと言うなよ…。可愛がってやるから」 「意味が解らない!解りたくない!」 思考を拒否し頭を抱えていると撫でられた。 頬を、歩に。 「陽太、可愛いな」 歩の悩殺ものの笑顔を正面から見てしまった陽太は金縛りにあったように動けなくなった。 イケメンに大分見慣れてきたと思っていたが心臓に悪い…! 「てか…、男に可愛いとか…」 「陽太は可愛いぞ?」 「嬉しくない」 歩の目は節穴か。 オレが可愛いとか、ありえない。 「よく解ってるじゃねぇか、転校生。陽太は可愛い。だがオレのもんだ」 「誰があんたのだ」 「陽太はオレのだ」 「歩も悪乗りしなくていいからな!?」 このイケメン達怖い。 「陽太。生徒会室、行こう」 「いきなりだな…けどまあそうだったな。先生、そういうことだから」 「…チッ、仕方ねぇな」 「舌打ちって…」 安達先生はふて腐れていたが解放はしてくれた。
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