中途半端な転校生

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チャラ男はじっとこちらを見つめ、目を細める。 「いいなぁ…。けいちゃんも可愛いけど、陽太くんも可愛い。オレも陽太くん食べたいなぁ」 「シャレにならないこと言わないで下さい」 「あれぇ、そんなに嫌な顔されたの久しぶりぃ」 ニコニコと陽太を見つめる。 何で嬉しそうなんだ。 ドMか。 スッと横から手が出て無口イケメンの手を歩がつかむ。 「陽太はオレのだ。離せ」 「オレ、上」 「だからなんだ」 「歩…喧嘩しないで…。あとお前のじゃない」 「陽太も、言ってる」 「でも手は離して下さい」 「や」 「けいちゃんと陽太くん可愛いなぁ。三人でヤらない?」 「ド変態」 「かぁわいい」 バンッと机を叩く音が響く。 音の先には会長。 どうやら、会長はイライラしているようだ。 そんな会長を陽太から見て右側のソファにいるイケメンが面白そうに見ている。 オレの視線に気付くとイケメンは爽やかに微笑んだ。 明るめの茶髪に切れ長な瞳。 キチンと着込んだ制服が反対側のチャラ男と相俟ってより爽やかに見える。 「おいお前ら、オレが先だろう」 「会長ぉいいじゃん別にぃ。もっと陽太くんと愉しみたぁい」 「楽しむの字が普通と違う気がするけど」 会長、チャラ男、爽やかの順に話す。 早くしてくれ。 授業に戻りたい。 あと、そろそろ手を離してほしい。 「おい、佐々木陽太」 「何ですか生徒会長」 「何故名乗らなかった?」 「必要性が感じられなかったからです」 睨まれた。マジ怖い。 生徒会長ってイケメンなのに怖い。 「今日の用事は浪川歩くんに学校の案内と寮の案内、注意事項を教えようと思ってね」 爽やかイケメンが話を切り出す。 会長より話が通じるらしい。 「陽太に頼む」 「うん、だから本当はもう帰っていいんだけどね」 けど、とはどういうことだ。 オレの考えていることが解ったのか爽やかイケメンは苦笑いを浮かべた。 「翔平がね…。君に用事があるらしくて」 「…翔…?あ、会長ですか?」 「うん。そう」 ニコニコとした笑顔に戻しオレを見つめる。 「ていうか、ひとつ聞いていいですか?」 「なんだ?」 生徒会長が応える。 「何でオレの名前を生徒会長と役員のみなさんが知ってるんですか」 「お前が浪川歩を職員室に連れていってる間に調べた」 会長は当然だと言わんばかりに眼鏡を押し上げた。
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