中途半端な友人関係

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此処でひとつ、田島の紹介をしよう。 田島は一言でいうと王子様系イケメンだ。 常に背中に薔薇を背負ってるかのように眩しく、趣味はフェンシングらしい。 まあ今まで見てわかるだけで変態なのはある程度伝わったと思うだが、クラス全員に変態呼びされるようになった事件がある。 それは入学2日目の出来事だった。 教室に入ると全員の机の上にあるモノが置かれていた。 ローションというやつだ。 そこまではまだ、いいんだ。まだ。 田島は席に着いた奴からそのローションを顔にぶっかけ始めたのである。 そしてその顔を写真に撮り、コレクションしているという。 (その日は一眼レフカメラと携帯で撮っていた) 因みに被害に遭ったのは委員長の羽田くん。 次がオレ。 最後が片桐だ。 なぜ3人なのかと言うと、委員長の被害を見ていた奴らは席に座らなかったからだ。 オレはそれを知らず座ったらかけられた。 そんなオレを見ていた奴らも座らなかった。 そして片桐もオレと同じである。 その後HRが始まりローションは田島に回収されていった。 誰かしら忠告しろよと思ったのだが、忠告しようとしたらローションをかけられそうになったらしく誰もしなかったのだとか。 とりあえず、片桐の不登校は田島が原因だと思う。 「陽くんの後ろ、とっちゃった」 「黙れ変態」 いつの間にあだ名つけて呼んでんだこいつ。 「あの時の陽くんの写真、待受なんだ」 「消せよ!ていうかなんで待受!」 「携帯見る度、顔に粘着質な白濁の液を滴らせて頬を真っ赤に染めながら呆けてる陽くんに会えるよ」 「消せ」 やけに回りくどく表現しやがる。 あと頬は染めてない。絶対。 「陽太に手を出すな」 「出してないよ。もう、須貝くんもあの時写真撮りたかったのにローション避けちゃったから」 「普通避ける」 「いおりんがハイスペック過ぎる。でもいおりんのローションが呆けてたオレに掛かったんだよな」 「ローション割り増しの陽くん可愛かった」 「本当に死んで」 ローション2倍とかありえなかった。 制服はぐしょぐしょになったし。 風邪引いたし。 2ヶ月経った今でも怒りは収まらない。 まあ当然だと思うのだが。 余談だが、オレが安達先生に気に入られて名前呼びされはじめたのはこの日からだった。 何故かは聞いたことがないが、田島から写真を貰っていたのをオレは見しまった。
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