中途半端な学校

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おかしい。 どう考えてもおかしい。 入学そうそうピンチだよ。 オレもう帰りたいよ。 オカーチャン助けてよ。 いくら男子校でもさ、隣には女子校(という名の天国)があるっていうのにさ…。 何が楽しくて男同士でキスしちゃってんの!? 目の前でキスとか止めてくれよホントに。 「えっ!?ちょっ!!ナニする気なんですかお二人さん!!ヤるならせめてオレがいなくなってからに…!!」 ああ、オレこの学校でやってけないよ。 「とか思ってたあの頃、カムバック」 「ちょっと待った。その話kwsk」 「もう2ヶ月も前の話を掘り返せと言うのかい?春樹くん」 「掘るとな?なんだ当事者か。じゃあその時の心情も織り交ぜて話しておくんなし」 「ダメだこいつ早く何とかしないと」 6月に入りやっと高校にも慣れてきたオレ、佐々木陽太。 自室にて談笑中である。まる。 真顔で変態発言をしている友人の川田春樹くんは、男同士の恋愛(を題材にしたモノなど)が好きな腐男子らしい。 「入学早々、とても幸せな出来事に巡り会えたお前がうらやましいよ」 「オレ、腐男子じゃないから嬉しくないよ」 相変わらず真顔な川田に言葉を返す。 どうやら川田はそういったものを見るためにこの高校を選んだらしい。 なんて不純…、いや腐純か。 オレの志望理由は至って簡単。 そこしか受かりそうになかったから。 どうせ馬鹿ですけど? 「お前、ここがホモだらけって知らなかったのか?」 「知らないよ。だって隣女子校だし、彼女作れるって思ってたからね」 「憐れだなあ」 それは本当にそう思う。 この男子校より隣の女子校の方が同性愛者が多い。 こちらと違い、全寮制で異性との交際にも厳しいらしく、そういった人が増えるのだとか。 つまり、 「キマシかあ」 「キマシだな」 と納得してしまうオタク二人。 オレがこのホモの巣窟である紅桜(コウオウ)学園に入学してから約2ヶ月。 やっとこの学校の全体を掴めてきた。 紅桜学園は私立の男子校。 小中高のエスカレーター式になっており、高校に入るまでは全寮制だったらしい。 小中学校は金持ちしか入れず、森に囲まれた孤島だったとか。 川田曰く王道。 その影響から、小中で同性愛者と化した男共が7割。 両性愛者が2割。 オレや川田みたいな編入組が1割。 といった具合になっている。 心が折れそうです。
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