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風呂から上がったオレはどこと無く違和感を感じ、辺りを見渡した。
こういったときは川田に聞くのが1番だ。
腐男子としてこの学校の事情は隅々まで知っておかなければ腐男子総受けフラグが建ってしまう、とか言っていて情報通だ。
建てばいいんじゃないかな?
「川田くん川田くん、あーそーぼー」
川田の部屋の扉をガンガン叩きながら叫ぶ。
「よく来たね陽太。君はやっぱり幸せを運んでくるようだ。そう、今し方とてもオレの萌えをくすぐる情報が手に入ったところだよ。遂に、遂に来たんだ。オレが待ち焦がれていたあいつが。現実もすてたもんじゃないね、勿論二次元には敵わないけれど、それでもやっぱり嬉しいものだね。これぞ王道だろう。この学校の生徒会は王道かと言われるとどうかとは思うが、萌えを提供してくれるのには変わりない。だがしかし、遂に王道展開が訪れようとしているんだ。そう、オレが求めていた王道だ。オレの機嫌がいいのもそのためさ。さあ早くオレの話を聞いてくれないか」
「いや…うん。聞くけど」
どうして声はそんなに興奮しているのに顔は微動だにしないんだ。
川田に通され部屋に入る。
相変わらず机の上にはPCと薄い本が積み上がっている。
「で、遂に来たって何が?」
適当に座りながら聞くと、待ってましたとばかりに目を輝かせた。
ただし真顔。
「ついに転校生が来るんだよ。転校生だぞ、転校生」
「何度も言わなくても…。転校生って川田がいつも言ってる、かつらに眼鏡みたいな?」
「そう!噂によれば理事長の親戚らしい!まさに王道!」
「王道の定義がわからないよ」
川田のいうような王道なら関わりたくない。
「生徒会との絡みwktk」
「何年生なん?」
「オレ達と同じ一年生ですっ」
「うぇ…そしたら人数1番少ないオレらのクラスじゃねぇの?」
「そうだけど?」
どうせお前は関わらないんだろ。
ちくせう。
「オレはお前もいい萌えを提供してくれると信じてる」
「だが断る」
「なんでだよ…。友達だろ?」
「教室でオレのことガン無視する友達なんて友達じゃない」
「てへぺろ」
「訴訟も辞さない(某声優)」
なるべく関わらないようにしよう。
そうしよう。
「因みにこの階の空室に越してきます」
「うわぁああああ」
「関わらないとか無理だから。オレは当たり障りなく、無難に付き合っていくよ」
「オレもそうする」
「むりぽ」
「なんでだよ」
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