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今、私の目の前であり得ない事が起きてる。
カッターは床に落ち、私の左手首は…
タンスに閉まったあの人形に掴まれている。
「逃げちゃだめ!!あなたはこんな私を愛してくれた。優しい人なんだから。彼はまだそれに気付いていないだけだから。」
「え?え?」
私には何が何だか分からなかった。
「ほら、もう一度向き合ってごらん?物は捨てられれば消えて無くなるけど人と人は向き合ってやり直せるから。」
そう言うと掴んでいた手を離した。
「私はこれで戻るけど見守っているから。」
人形は少し笑ってそして
「さようなら。あなたは一人じゃない。」
涙を一粒流して人形に戻った。
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「おはよう。」
「え、お、おはよう…。」
あれから少しずつだけど、彼と向き合おうとしている。
「あ、おい!」
「何?」
「その…悪かった。」
「何が?」
「いきなり…別れを告げた事が。」
「…ホントにビックリしたよ。」
「ホントにすまなかった。」
「ねぇ?」
「ん?」
「やり直せないかな?」
「え?…やり直して…くれるのか?」
「うん。やり直そう。また一から。」
「…ありがとう。」
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