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「へぇ、今度は珍しくミステリーじゃないんだな」
プリントされた紙を手にしながらシミジミとそう言った樹利に、シンは頬を赤らめながら頷いた。
「う、うん、野々山さんに『ミステリー以外のものが読みたい』って言ってもらって」
その言葉に可愛は目を輝かせて身を乗り出した。
「恋愛モノ?」
「あ、いや。なんていうのかな」
と困ったように顔を上げたシンに、樹利がクスリと笑って代わりに答えた。
「そうだな、人間ドラマコメディみたいな感じかな。
とある喫茶店に集まった数人の客がひょんなことから皆どこかでつながっていることが分かって、あれこれ揉め事が起こって解決するって感じのシニカルコメディっていうのか。
うん、こうしたのも結構、面白いよ」
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