第3話 『きまぐれな時間』

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――― ――――― ―――――――― 「ねぇ、可愛さん、こんなの見付けたんだけど、可愛さん映画に出たことあるの?」 リビングに戻るなりDVDを差し出して尋ねたルカに、可愛は「へっ?」と素っ頓狂な声を上げた。 「私は映画になんて……」 そこまで言ってDVDを手に取るなり、瞬時に思い出したように耳まで真っ赤になった。 「あ、あー、それは違うの。大学時代サークルで映画を撮ってね、その記念のもので」 アタフタしながらそう言う可愛に、樹利も思い出したように、「ああ」と頷いた。 「卓也と共演したってあれだろ? キスシーンがあって、してる振りをするはずだったのに本当にされて驚いたとか言う……」 そう言った樹利に、シンは「卓也君とキスシーン?」と目を開いた。
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