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黄色い帽子をかぶり火の玉をくるくるさせながら歩く子どもたちや、強化魔法で足をムキムキにしながら走るサラリーマンを抜かしながら、恭真は大通りを走る。
大通りには『早く速く、そして安い』が売りであるペガサス送迎という馬車みたいな送迎設備がある。もちろん、ペガサス送迎に頼めば走るよりも早く目的地に着ける。しかし、財布さえも引っ越し用の魔方陣にうっかり置いてしまった恭真は、ペガサス送迎する金さえ持ち合わせていなかった。
「あーぁ、俺のバカやろう!」
今からラオにはいるはずの男は、叫びながら走る不審な姿から、逆に通報されかねない様子であった。
ちょっぴり自慢の駿足で器用に人をかわしつつ、公園の花壇を飛び越えた。
白くめらかな色に円形状の高い時計台の下に恭真を見つけるとニコニコしながら、軽く手を振る男性。
現在時刻は8時7分
さすがに待ち合わせ時間には遅刻した恭真であったが、
「久しぶり、恭真。寝坊かい?」
「はい、すいません。」
慌てて謝る恭真であったが、夢人は相変わらずほほえみながら、怒る様子も素振りもなく近寄る。
「僕は隣の部屋で鳴ってた恭真の目覚ましで起きたから。」
夢人は頭を軽く掻きながら少し恥ずかしそうに告げる。
「僕の目覚まし時計壊れてたらしくて、
恭真の目覚ましが鳴らなかったら僕が遅刻だったね。」
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