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「くぁ~…」
古ぼけたレジの奥で、横になった男が一人。
もう昼過ぎだというのにだらしのないあくびをかましている男がいた。
残念なことに店主だった。
彼が着ている紺色の甚平姿は、時代の流れが錯綜しているようにも見える。
「旦那しゃん。たまには真面目にやってくだしゃいな」
ガラガラと開いた引き戸から、女の子が入ってきた。手には箒を持っている。
背格好は小学三年生ぐらいだろうか、雇用される年にはまだはやいような気もする。
「おーうお疲れさん。
掃除は終わったか?」
「もちろんでしゅ!
このくらい楽勝でしゅ!」
「さすがは桜だ。その調子で今日の昼飯も作ってくれ」
「はいでしゅ!」
なんといい子だろうか。
このだらしのない店主にはもったいなさすぎる。
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