桃太郎

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バン! 「ここに、中村安斎という名の凄腕研ぎ師がいると聞いた!」 引き戸を叩きつけるように開け、大股でレジに歩み寄って来たのは、燃えるような赤い髪を後ろでまとめた女の子だった。 ポニーテールと言うよりはちょんまげと言った方が、雰囲気にもぴったりだ。 「美人さんは大歓迎だが、飛び込みとは感心ならんな。 勢いだけでなんとかなるのは若い内だけだって今から考えてるだけで全く違うと思うぞ?」 昼寝を邪魔され、いつもより少し不機嫌な安斎。 そんな彼を髪と同じ色の瞳が射るように見つめていた。
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