桃太郎

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「……あなたが安斎殿だな」 食べ残しの煮魚を見るような目で安斎を見ながら、女は言った。 そんな目を気にする様子もなく、 「…もし違うと言ったら?」 ふて寝に入ろうとしている。 「そんなはずはない! 筋肉の付き方、視線の配り方、そして何より、素人ならざる気配を感じる! あなたが安斎殿以外の男ならば、切り捨てる!」 (こりゃまた物騒なお嬢ちゃんだ…) 「だが、それは有効なときもあるようだ。 切り捨てられたくないからな」 面倒くさそうに体を起こした安斎。 しかしその目に眠気は微塵も見られなかった。 「ご明察。俺が中村安斎だ。 正解だから切り捨てるなよ?」 悪戯っぽくニヤリと笑った。
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