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「(今更、遅い)」
貧血気味の脳内を、かき乱すような思いが、グルグル体を霧で包みこんでいく。
鎖で、繋がれた人生。
僕には重すぎた。やがて僕は、十字架の重みに耐えかねて、押し潰されてしまうだろう。
『死』なんて、ただそこにあった『生』という存在を消すだけなのだ。
そこにあったはずのものが無くなり、隙間が空いたとしても、いつかは、人が埋もれて消えてしまう。
みんな、何時かは忘れていまうのが普通なのだ。
どんなに悲しんだ所で、彼女は帰ってこない。
居なくなった人間が、もどるはずがない。
目尻が熱くなるのを、感じながらも、僕は、目の前の事をおわらせていった。
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