Act.市ヶ谷晶良(いちがやあきら)

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 青磁と仲のいい僕や要(かなめ)にもいじめを伏せていた。だから青磁は鵡川のいじめを知るのが遅くなった。こんな事態になってしまい、止められなかったことを青磁は悔やんでいた。  ただ、それでも青磁は鵡川を助けたいと思っていた。鵡川がいまだに意識があるからこそ、先ほどのような発言をしたのだ。  だとすればすぐに救急車を呼ぶべく電話をすればいいものだが、それができないのには至極簡単な理由がある。  さっきから、正確にはジョーカーが現れてから、ケータイが通じなくなっていたのだ。  近くにいる要が急いで救急車を呼ぼうとしていたが、通じないことに戸惑っていた。 「拒否権はないよ」  青磁の言葉を無視して、ジョーカーは言う。 「このぉ!」  青磁はジョーカーに殴りかかるが、ジョーカーはいともたやすくそれを受け止める。 青磁は感情に流されやすい。だからこそ、要が救急車を呼ぶなどのフォローをしている。もちろん、僕だって色々とフォローをしている。 「羽田(はた)青磁くぅん。殺すのはオレじゃない、ここにいるみんなだよ」  ジョーカーは一人称をコロコロと変えて、笑う。なぜ、青磁の名前を知っているのか、些細なことだけど問いかけようと思ったとき、 「おいおい、そりゃあ、どういうことだよ?」  殺す、という言葉に反応して佐々木がジョーカーに問いかけ、僕は質問の機会を失う。 「乗り気だねぇ、佐々木刃」 「いいからとっとと教えろよ」 「今からキミたちにやってもらうゲームのルールは簡単。ただ殺す、それだけだ。もっと詳細なルールがあったりするんだけどさ、とりあえず殺す、っていうのがルールさ。生き残れるのはたったひとり。ひとりになるまで殺し合う。どう簡単じゃないかい?」
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