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「ああシンプルだ」
「そんなのありえない。これは……夢だ……」
次々と誰かが言う。
「いえ、嘘ではありませんよ。今、あなた方の頭の中に響いているでしょう。わたしの声が。その声はなんて言ってます?」
そう言われて僕は気づく。
《ヒャーッハッハッハ! 市ヶ谷晶良。キミの能力は猪突盲信(ブレイバー)。おっと、ネーミングについては笑うなよ。僕がつけたわけじゃないんだから。まあじゃあ誰がつけたんだって問われたら、オレ様だって困っちまうがな……。でそうそうてめぇの能力だが……》
聞きたくないと思って耳を塞いだが、僕の頭の中には延々と説明をするジョーカーの声が響いていた。それでもこれを幻聴と言うことだって思える。誰だってそう思っているはずだ。
「仮に……仮に、だ」
そう言うのは青磁。
「このゲームが本当にあるとして、だ。誰がみんなを殺すと思っているんだ? 何もしなければゲームが始まっていたとしても、何も起こるはずがない」
「ヒャーッハッハッハ。それは無理だよ、羽田青磁。だって……こうすればどうだい?」
そう言ってジョーカーは鵡川の中へと吸い込まれるように消えていく。
「な……何をしている?」
「何って……なんだと思う?」
鵡川の背中から顔を出したジョーカーは問いかける。
その異常な光景に全員が言葉を失った。それでも主張した青磁だけは必死に言葉を探している。
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