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Act.鵡川陽樹
ぼくを……どう……するつもりだ……。
痛みが全身を襲うなか、ぼくは頭の中のジョーカーに問いかける。口を動かさなくてもいいので、楽だ。
《どう、ってどういうことだい? 僕はキミをどうすることもしないよ。とりあえずキミは参加者になった。あとは好きにしなよ》
好きに……ってぼくはもう死ぬんだぞ。
《そう、だねぇ。けど、オレ様に取りつかれた参加者ってーのは、身体能力があがるんだ。それってつまりどういうことだと思う?》
もしかして、強くなるってこと?
《ああ、そうだよ。そしてそれだけじゃあねぇぞ。身体能力があがるってことは、要は少しだけ頑丈になっているってわけさ。キミは死にかけだったが、それでも立って歩けるぐらいには回復していると教えてやろう。。そそのかすつもりじゃねぇけど、お前はこのまま死んでいいのか? あんたには力がある、そしてわたしが授けた能力もございます。なのに、ただ死んでいくだけでいいのか?》
いやだ、そんなのはいやだ。あと少しでも生き残れるのなら、そして力があるのなら、ぼくは、ぼくは……
ぼくは立ち上がる。
身体がずきずきする。骨だってきっと折れている。よく大量出血で死んでないものだ。
けど、そんなことはどうだっていい。ぼくは何も考えずに能力を唱える。
「脳転機(チアフル)」
すると不思議なことに痛みが引いていく。すごいな、能力。
《過信するなよ。正確には痛みを感じないほど陽気になってるだけだよ》
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