序 響き渡る銃声

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そんなトンネルの頂点に華麗に着地すると、ノエルは銃をコンクリートが陥没している場所に押し当てる。 すると、彼女の目の前に鉄で出来た滑り台様なものが口を開ける。普通の人間なら躊躇うような威圧感があるが、ノエルはそんなものをものともせず、軽い身のこなしで跳びこんだ。 ノエルが所属する特殊暗殺部隊では銃に個々のIDが埋め込まれている。それがパスとなり、この様に部隊が所有、使用している施設の入口を開けて通ることが可能なのだ。 少し長く感じるほどの滑り台を滑り終えたあとに広がった世界はハイテク機器が列を為している、所謂司令塔の様な感じだ。前面にある巨大モニターには、でかでかとSATの文字が躍っていた。 SAT、それはノエルが所属している部隊の通称だ。正式名称は「特殊暗殺部隊」 SATの主だった仕事は権力などによって罪をもみ消そうとしている者や、表立って活動している特殊部隊では歯が立たないほどの凶悪犯を速やかに、かつ気づかれないように処理することだ。 裏方なので市民の中で知っている者は少ないが、ほんの一握りの精鋭のみが入隊を許される過酷な部隊だ。ノエルはそこのホープとしてこの本部をホームに暗躍している。
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