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「さっき絡まれたときに、隠しといたんだ。電柱の裏に」
「そん中に財布入ってんのか?」
「いや、財布はさっき僕が抱えてた鞄の中に入ってる」
なんだそりゃ?普通隠すの逆じゃねーか。
「ふふっ、そんな難しい顔しないでよ‥‥‥‥まあ、 お金より大事なものがあるってことさっ」
たとえば‥‥‥
「誰にも知られたくない、知られてはいけない秘密。とかさ‥‥‥」
そう言った篠宮の表情が一瞬だけ、悲しいような、切ないような。そんな風に見えたが、どうしてだろうと思案する前にさっきまでのにやけた様な顔に戻っていた。
「でも、ホントかっこよかったよ神田君」
それを、女の子が言ってくれたら嬉しいんだろうけどな。
「僕、もうちょっとで惚れちゃいそうだったよ」
「俺には、そういう気は一切無いっ」
「あれ?僕は冗談のつもりで言ったんだけど?」
篠宮は俺をからかうのがそんなに面白いのか、カラカラと本当に楽しそうに笑った。
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