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引き返そうにもこの道を通らないと家に帰れねぇし、なるべく目を合わせないように行こう。面倒事に巻き込まれるのは中学でもう懲り懲りだ。
「おっ」
しかし残念なことにカツ上げとの距離が5メートルを切った辺りで、不良のひとりであるデブがこっちを見てニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべたのが視界の隅に入った。あーあ、面倒事確定だ。
これが可愛い女の子だったら笑顔であいさつのひとつでも返そうか。なんて気持ちにもなると思うが、頭の悪そうな不良の笑った顔は、何度見てもむかっ腹が立つだけだ。
誰得でもねーよ。こんな汚ねぇスマイル。
「なんだ、兄ちゃん。何か文句あんのか?あ?」
デブは目すら合わせていない俺に向かってまたベタな台詞を吐き飛ばした。
いや、君にお兄ちゃんと呼ばれるほど歳が離れていると思えないし。単に言って見たかっただけだろ、それ。何?カッコイイと思ってんの?それ?
「‥‥‥‥」
などど、余計なことは言わずに、俺は視線を逸らせたまま、無言で歩みを進める‥‥‥が、何故か進路上にデブが立ちふさがったので仕方なく足を止めた。
「はっ、ヤッチャンそのぐらいにしときなよ。びびってんじゃんそのノッポ君」
するとヤッチャンなるデブの様子を見ていた金髪が、面白そうだな的に俺の顔をじろじろと見始めた。止めてくれ、寒気がする。
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