ープロローグー

5/13
前へ
/27ページ
次へ
「しょうがねぇよ。俺らが恐いんだから。図体とか見た目だけ俺らに勝ってても、喧嘩じゃ俺らにゃ勝てないって分かってんだよこのノッポ君も」 俺はその時そらしていた視線を、その不良たちに向けた。   確かに金髪の言うとおり、不良の誰よりも俺のほうが身長は高かった。 それに自分で言うのもなんだが、俺って目つきも割りときついし、髪型も少し茶髪でオールバック気味になってるから、見た目では目の前の不良達よりかは強そうに見えるだろう。でも、喧嘩が弱い、恐いから。なんて理由で喧嘩をしないんじゃない。ただ俺は‥‥‥ 「喧嘩は俺が頂点を目指してるものじゃねぇからしない。ただ、そんだけだ‥‥‥」 「ふんっ、ほっとけよそんな腰抜け。今日はこいつだけで獲物は十分だ。通してやれ」 最後の三人目であるサングラスの不良が、顎で獲物が入ると思われる方向を指す。 「しかしノッポ君。くれぐれもこのことは他言無用で頼むぜ。同じ学校の奴がカツ上げされてたなんて言っちゃ駄目だよ?俺達の為にも、この子の為にも、そして君のためにも。ね」 同じ学校? そう言われて俺はやっと、カツ上げされてる奴の姿をはっきり見た。 恐怖で声も出ないのか、華奢な身体を縮こまらせ俯いたまま、そいつは黙って律儀に体育座りをしていた。 それでも鞄だけは離すまいと大事そうに抱え込んで。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加