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「しょうがねぇよ。俺らが恐いんだから。図体とか見た目だけ俺らに勝ってても、喧嘩じゃ俺らにゃ勝てないって分かってんだよこのノッポ君も」
俺はその時そらしていた視線を、その不良たちに向けた。
確かに金髪の言うとおり、不良の誰よりも俺のほうが身長は高かった。
それに自分で言うのもなんだが、俺って目つきも割りときついし、髪型も少し茶髪でオールバック気味になってるから、見た目では目の前の不良達よりかは強そうに見えるだろう。でも、喧嘩が弱い、恐いから。なんて理由で喧嘩をしないんじゃない。ただ俺は‥‥‥
「喧嘩は俺が頂点を目指してるものじゃねぇからしない。ただ、そんだけだ‥‥‥」
「ふんっ、ほっとけよそんな腰抜け。今日はこいつだけで獲物は十分だ。通してやれ」
最後の三人目であるサングラスの不良が、顎で獲物が入ると思われる方向を指す。
「しかしノッポ君。くれぐれもこのことは他言無用で頼むぜ。同じ学校の奴がカツ上げされてたなんて言っちゃ駄目だよ?俺達の為にも、この子の為にも、そして君のためにも。ね」
同じ学校?
そう言われて俺はやっと、カツ上げされてる奴の姿をはっきり見た。
恐怖で声も出ないのか、華奢な身体を縮こまらせ俯いたまま、そいつは黙って律儀に体育座りをしていた。
それでも鞄だけは離すまいと大事そうに抱え込んで。
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