そういえば居たんだった。

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「風紀委員さん。」 保健室へと進めようと足を出そうとした時。今まで黙っていた黒須が口を開く。 重苦しい空気の中で、その声は良く響いて。 「俺、自主退学するから。処罰は受けなくて良いよな?」 誰もが頭の片隅で予想していたであろう事。黒須を止めようとする人間は、いない。 勿論俺が止めることも無い。他人は他人、俺達が口出す事も無いだろう。 それは生徒会の奴等も分かっている事。社会のトップに立てば、嫌でも分かってくる。 他人に干渉することは、自殺行為だ。 「――止める事はしねぇよ。」 「俺がとどまる理由も無くなったしな。一気に熱が冷めた感じ。」 軽く笑う黒須の声量は、全然耳につくようなものじゃなくて違和感が半端ない。……なんであんなに大声出してたんだよ。 「柚希が紫音のものになっちゃったし?」 「え?え?やっと二人とも付き合いだしたんすか!?」 「……犬飼、うるせぇ。」
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