小説を書くコツ

10/16
前へ
/36ページ
次へ
「まず、季節感がほしいわねぇ。何月何日ってカッチリ決めなくてもいいけど。ちらっ」  アン様はそっぽを向いて、目にだけでこっちを見る。 「季節……。あー、また冬に逆戻りだよ」 「ということは、今は春先ね? どうしてそう言えるのか、知りたいな~。ちらっ」  アン様はまたこっちに目をやる。 「いや……四月になってもたまに雪がちらつくのが雪国仕様だし」 「じゃあ、わたしたちはその雪の中、テーブル席にいるわけね。じー」  アン様は今度はこっちを向いた。 「はぁ? 馬鹿じゃないの? テーブルは建物の中にあるの。常識でしょ」  私は呆れるしかない。この人、どっかおかしいんだよ。「ちらっ」だの「じー」だの、変な擬音までつけて。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加