小説を書くコツ

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「『以上』? いきなり終わってどうするんですか」  暗がりの中、誰かが私に声をかけてきた。 「だって、もう書くこと無いし」  私はつい返事をしてしまった。 「『あります』って大威張りで書いたからには、そこに至った経緯があるのです。それは、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、結論付けたのですか?」 「……」  私が黙っていると、相手はとんでもないことを言いだした。 「それをドラマチックに書いてください」 「いや、そう言われても……」  こんなもののために、走り回ったり、誰かと意見を衝突させたりしろ、と?  ……想像できない。  私は話をそらすために質問してみた。 「それより、あなたは誰なんですか?」 「私は、あなたが作った、名前だけのキャラクター、堕天使アンシエルです」  そういえば、作ったはいいけど、こんなキャラが大活躍する話を思いつかないから放置したんだ。 『堕天使アンシエル』は続けて言う。 「とりあえず、タイトル通りの内容を書きましょう。物語は、もう始まっています」
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