8人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「伊達くん、ちょっと来てー」
少し離れた所から、男の人が呼んでいる。
「あ、はーい。今行きます」
伊達くんはさっと立ち上がり、呼ばれたほうへ行ってしまった。
「さて、小川節子さんの文章にはいろいろ足りないものがあります」
堕天使アンシエルは両手を腰にあてて、私を見下ろした。
「全部揃ってるんじゃない? 5W1Hでしょ? 『いつ』は『昼休み』、『どこで』はこの『テーブル席』、『誰』は『私』と『あなた』」
「その前に、わたしのことは『アン様』と呼ぶように」
「はいはい……『アン様』ね」
投げやりに返事する私。
最初のコメントを投稿しよう!