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「そんなに怒ると、皺、増えますよ。」 親切心から、つい忠告して墓穴を掘る。 「怒らせてるのは、何処のどいつなのよ!」 首根っこを掴まれて、身動き取れない私に、恭子さんは顔を近付け、色っぽい微笑みを向ける。 「五千円札と同じ名前してんだから、金の工面位ちゃんとしな。 明後日の稽古までに持ってこなけりゃ、山中(やまなか)さんに言って役降ろしてもらうから。」 「恭子さん、それ冗談に聞こえな―――。」 「冗談じゃないし。」 わ……。 目が笑ってないよ。 .
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