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「明日、再従兄弟の結婚式があって、色々物入りなんですよ。……来週じゃ駄目ですか?」 キャラにもなく上目遣いで見つめてみる。 「アンタ、その台詞先週も言ってた。 こうなりゃ差し押さえだね。事務所行ってくる。」 「それだけは勘弁して下さい~!」 事務所とは、私が勤めている人材派遣会社のこと。 人材派遣とは言っても、一般的なところとはちょっと違うんだけど。 「……解りました。自分で頼んできますよ。」 稽古でもないのに、稽古場に顔なんか出すんじゃなかった。 逃げんじゃないわよ!という罵声を背中で聞きながら表へ出ると、私はエレベーターに乗り込み二階のボタンを押した。 .
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