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少女たちの絶叫が聴こえる。私は獣化したマリオ様に“心臓”を貫かれたのだ。驚愕しないほうがおかしい。
「……で、も…マリオ様、正気に戻ってください……!」
私は“絶命”していない。
胸を貫かれたままマリオ様を抱きしめた。これには不思議そうに私を見ていたマリオ様も暴れ始め、身体の至るところを傷が走った。
痛みに堪えながら私は瞼を固く閉ざし、祈り続けた。
「戻ってください!マリオ様ッ!!」
唸りながらマリオ様は私の肉体を傷つける。痛みで感覚が麻痺しそうだ。けれど私は必死にマリオ様を拘束し続けた。
次第に彼の抵抗が弱まってきた。
「ぅあ、お嬢様……ッ!」
「大丈夫です。もうすぐマリオ様の魔力が切れますから」
猛然と駆け寄ってきたゼロちゃんへ私は厳然と言い放った。さらにマリオ様の動きが弱まり、遂には全体重が私にのし掛かってきた。
しっかり支えようとしたが、非力な私には無理だった。
「んん……ゼロちゃん手伝ってくれませんか?」
すぐさま理解したゼロちゃんは、マリオ様を背中から支えてくれた。私は胸を未だ貫通している手を引き抜いた。
真っ赤な血が辺りへ飛散する。空気が体内を直に通っている感覚は始めてだが、あまり気持ちのいいものではなかった。
「どうやら本当に私は“不死”となったようですね。何だか妙な気分です」
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