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「おもしろい奴だな。変わってるって、言われるだろ」 「言われませんよ、そんな事言ったら教授の方が変わってる」 「私は至って普通だよ」 そう言ってウィスキーを飲む姿は、男らしい、と言う言葉がピッタリだろう。 スーツを纏っているが、大人の色気は隠しきれていない。 アルコールを摂取したことで熱くなったらしい彼がジャケットを脱ぐと、ワイシャツの下にある肉体が鮮明に想像された。 筋肉によって、胸板が綺麗に盛り上がっているからである。 しかし、ワイシャツだけ、と言うのはかなりの破壊力だ。どこからか、女性の黄色い声も聞こえてきてなんだか落ち着かなくなってきた。 「どうかしたの?」 「いえ...。あ!そうだ、大学の寮についてお話聞かせて頂いてもよろしいですか?」 「ああ、構わないよ。君は、寮で生活しようとしてるんだな」 「はい、父親に負担かけてしまいそうだったので寮で生活しようかと。ただでさえ高い授業料を払って貰っているのに、何か申し訳なくて」 昔の俺だったら考えられない。素でこんな言葉が出る様になった事から、多少は成長してると感じられた。 「へぇ、偉いじゃん。親孝行な息子を持った御父様が羨ましいよ。寮は朝と夜だけ食事が出る。昼は自分で作るか、買うかのどちらかだね。1人1部屋でユニットバス、ベッド、クローゼット、小さな冷蔵庫つき。他に必要な家具があったら自分で買い揃えるって事くらいじゃない?門限は22時、これ守れなかったら追い出されるよ。無断外泊厳禁、これも守れなかったら追い出される」 なるほど。 取り敢えず、わかった。 その後に、寮を利用するにあたっての金額や洗濯などについて教えて貰った。 「大丈夫?親孝行できそう?」 正直言えば、結構ギリギリ。 今やってるカフェのバイトと何かを掛け持ちするか。 「大丈夫だと思います。有難うございました」 「もしあれだったら、私の所にでも来ればいい。野宿できる様に寝袋かしてあげるから」 「いや、泊まらせてくれるんじゃないのかよ」 そう口にすると、彼は無表情を崩しフッと笑って見せた。
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