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「そう言う訳ではないんです。ただ、教授の手伝いをして…少しでも近づければいいなって。」
今までには出会ったことの無いタイプの人間だからか、興味がわく。
声や容姿もそうだが、講義の内容は俺を飽きさせない。
大勢の前ではサイボーグの様に感情や表情を読み取らせず、二人きりになると人間らしさを出してくる。
「俺は、教授に憧れてしまった様です」
憧れを持ったのは確かだ。
でも、それと同時に「佐伯利孝」と言う人間が気になった。
「……君はやはり変わってるな。私なんかよりも優秀な教師は沢山いると言うのに…。わかった、君はいつでも私の部屋に入っていい。私の手伝いをしてくれ」
笑みを浮かべる口元は、セクシー且つ上品に動く。
「他の子は皆近付いて来ないんだけど、物好きもいるもんだな」
「物好き…それって、俺の事ですか?」
「当たり前、君しかいないだろ…?」
近寄りがたい容姿と発言が周りの奴等を遠ざけてんだろ。
本来なら、誰しもが近付きたいと思うんだろうな。少なくとも女性からは絶大な人気を誇るであろう事は、男の俺にでもわかる。
「一つお聞きしますけど、教授は何故明らかに冷たい態度を取るんです?表情とかも…。俺と二人きりの時は、こんなに優しいのに」
そう口にすると、彼は目をまん丸くしてこの部屋のキーらしき物を取り出した。
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