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「足元、気を付けて...」
そう言いながら俺の手をしっかり握り、腰に腕までまわしてる。タンブラーは俺に持たせているが、なかなかの
紳士でした。
教授のお陰でドジする事なく車まで辿り着いた俺は彼に御礼を言ってから、車に乗り込んだ。
教授も車に乗ると、ゆっくりと走行する。
「あぁ、そうか。君まだ18だもんな。」
「ええ、そうですけど...」
「この後、酒でも飲もうかと思ったのに...未成年か」
未成年者は酒の付き合いが出来ないってか?烏龍茶があるだろうがよ。そもそも、寮の門限覚えてる?
今は21時37分だぞ...!?
俺の帰る家を無くす気か。
「また今度、と言う事で。後二年先だけど」
「そうだな、20歳になったら美味い酒でも奢ってやる。それまで良い子にしてろよ...?」
教授素敵。
こんな大人になりたい。
憧れって正に、この事を言うんだろうなー。
ドキドキしたり、熱くなったり嬉しくなったり...こんな感覚、初めてだ。
「言いましたね?楽しみにしてますよ、教授」
笑顔を向けた俺に、彼は口元を上げて見せた。
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ーーーーーーーー
目を覚ますとベッドの上だった。
昨日は、門限ギリギリに帰って寮長にめっちゃ睨まれたんだっけか。
でも、教授の名前だしたら「あ、あーそうなんだー。高下は佐伯先生と仲良いのかー。」と少々焦った様子だったのを思い出す。
ベッドからむくりと身体を起こし、シャワーを浴びた後、朝食を食べるために食堂へと降りた。
「あ、おはよ!大和」
「ああ...」
隣で朝食を食べる咲夜に「テンション上げろよ」と言われながら、胃に優しそうな野菜のスープを一口飲んだ。
「さっき起きたんだ、そんな直ぐテンション上がるわけないだろ。」
「俺は上がった、何故なら彼女からのモーニングコールが...!!」
「うっせーな、朝から女の話なんて聞かせんじゃねぇよ。彼女のいない俺の身にもなってくれ」
先程よりもテンションが下がった俺を見て「すまん」と頭を下げる友人に笑みが零れる。
「冗談だよ。俺、今日早く出るから」
「お、そうなのか。分かった、気を付けて行けよー」
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