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「お....すげぇ、こんなにくれたんだ」
パッと腕を離し、珈琲豆を見に行く彼の後ろ姿を見て心臓を抑えた。
大丈夫かよ...俺の心臓。
何でこんな早くなるんだ?
病気じゃなかったら良いんだけどな。
大和って呼び捨てされた時、目の前真っ白になって...抱き締められたら視界が歪んだ。
...やっぱ病気かも。
「部屋も綺麗になってるし。君が掃除してくれたのか、ありがとう。助かったよ、朝一で講義はいってなかったろ?一杯付き合ってくれ」
そう言うと、挽いて粉末になった珈琲豆を使って珈琲を淹れてくれた。
前のソファに座る教授が上品にカップへ口を付け、珈琲を飲む。
「あ、美味しい。これあるんなら行かなくてもいいじゃん」
「それ、マスターに言ったら悲しみますよ」
「そう?じゃあ、大和君のシフト入ってる時だけ行こうかな。君の淹れた珈琲一度飲んでみたいし」
「....淹れてあげないと、思います。マスターの方が淹れるの上手だもん」
顔が熱い。
心臓が早い。
そんな俺を見ると、彼は一瞬驚いた様な顔をしたが、直ぐに目を細め優しい笑みを見せた。
「...淹れてよ、俺の為に」
はっ......俺!?
教授の一人称って「私」じゃなかったか?いや、これもまたカッコ良いって言うか何て言うか。
「考えておきます...」
駄目だ、顔熱すぎ。
教授はなんだか楽しそうだし、俺どっかおかしいの!?
「あ、ああ!そうだ!クッキー買ってきました!珈琲にあうんじゃないかなーって思って!」
鞄を漁る俺を見て、ふふっと笑いを溢した彼が顔を手で覆う。
「...教授?」
「悪い、あまりにも君が可愛くて...つい、ね。」
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